面接マナーより大事!“会話力”ってこういうこと

就職活動において「面接マナー」はよく話題になります。
身だしなみ、入退室の仕方、姿勢やお辞儀の角度…。もちろん最低限のマナーは大切です。しかし、面接官として多くの学生と向き合ってきた立場から言うと、「マナーが多少ぎこちなくても合格する人」はたくさんいます。逆に、マナーが完璧でも「会話が成立しない人」は厳しい評価になりがちです。

つまり、本当に重要なのは「マナー」よりも「会話力」です。ここでいう会話力とは、単に話が上手ということではなく、相手の質問を理解し、自分の考えを整理して、相手に伝わる形で返せる力のこと。これがある人は面接の場で光ります。


1. 面接は「会話」である

多くの学生が勘違いしがちなのは、面接を「試験」だと考えてしまうことです。用意した答えを一方的に暗唱するように話そうとする。しかし実際の面接は、面接官との「双方向のコミュニケーション」です。

質問に対して正解を述べるのではなく、自分の考えや経験をもとに「会話を成立させる」ことが求められています。

例えば、

面接官:「大学時代に力を入れたことは何ですか?」
学生A:「はい、サークル活動です。リーダーとして…(用意した文章を一気に話す)」

これでは“発表”に近く、会話とは言えません。

一方で、

学生B:「はい、サークル活動です。特にイベント運営に力を入れました。具体的には…(簡潔に説明)――ちなみにこの点は、御社のプロジェクトマネジメントにも通じる部分だと考えています」

ここでいったん区切って相手の反応を見て、必要があれば補足を加える。これが“会話”です。


2. 「会話力」がある人の特徴

会話力が高い学生は、次の3つが自然にできています。

  1. 聞かれたことに正確に答える
    → 質問の意図をくみ取り、的外れな回答を避ける。
  2. 相手の反応を見ながら調整できる
    → 長すぎず短すぎず、補足を加えたり切り上げたりできる。
  3. 自分の言葉で話す
    → 暗記した文章ではなく、経験や価値観からにじみ出る言葉を使う。

3. よくある失敗パターンと改善例

失敗例① 暗記の丸暗唱

「アルバイトでリーダーを経験し、協調性を学びました。私は責任感が強いです。」
➡ 表面的で伝わらない。

改善例
「アルバイトで10人規模のチームをまとめたとき、シフト調整が一番大変でした。最初は衝突もあったのですが、対話を重ねることで全員が納得できる形にできた。この経験で“相手の事情を聞き取る大切さ”を学びました。」

失敗例② 一方通行のスピーチ

延々と用意した答えを話し続け、面接官の目を見ない。
➡ 会話ではなく“朗読”。

改善例
区切りごとに相手を見る。「ここまででイメージ湧きますか?」と確認する。

失敗例③ 短すぎる返答

「特にありません」「普通です」など、一言で終わらせる。
➡ 会話が続かず、評価のしようがない。

改善例
「特に大きな失敗はありませんが、課題提出の遅れで注意されたことはあります。その時に学んだのは…」と、必ず“エピソード+学び”を添える。


4. 面接官の視点から見た「会話力」

私たち面接官は、学生の「完璧な答え」を探しているわけではありません。実際の職場でも、会話は常に即興で行われるもの。だからこそ面接でも、「予想外の質問にどう反応するか」を見ています。

たとえば、こちらが少し踏み込んだ質問をすると――

面接官:「その経験で、逆に自分の弱みも見えたんじゃない?」
学生X:「…(沈黙)」
学生Y:「はい。実はまとめ役にこだわりすぎて、人に任せるのが下手でした。ただ、その点は今は意識的に改善するようにしています。」

学生Yのように正直に答え、かつ成長につなげていると示せれば、会話のキャッチボールが成立します。


面接官からのワンポイントアドバイス

💡 会話力を磨くコツは、“普段の雑談”にある

面接の場だけで急に会話上手になることは難しいです。
しかし日常生活の中で、次のような習慣を意識するだけで、自然と力がつきます。

  • 質問されたらワンフレーズ+理由を添えて答える
    (例:「はい、映画が好きです。ストーリーよりも映像表現に惹かれるんです」)
  • 相手の表情を見て補足する
    (例:「伝わりましたか?少し具体例を挙げましょうか」)
  • 「自分の話を終えたら、相手に返す」意識を持つ
    (例:「私はこんな経験をしました。○○さんはどうですか?」)

こうした小さなやり取りを積み重ねると、面接の場でも“自然な会話”ができるようになります。

👔 面接官のひとこと
「面接で大事なのは完璧な答えじゃないよ。僕らが知りたいのは“会話ができる人かどうか”。それだけなんだ」


まとめ

就職活動では、マナーに意識が向きがちですが、本当に評価の分かれ目になるのは「会話力」です。暗記した文章ではなく、普段の自分の言葉で、相手とやりとりを重ねること。これができる人は、たとえ緊張していても「この人と一緒に働きたい」と思わせる力を持っています。

面接は試験ではなく会話の場――その意識を持って、日常から少しずつ練習してみてください。

プロフィール
この記事を書いた人
パパダンゴ

人事歴10年以上、これまでに年間200名以上の面接を担当してきました。現在も第一線で採用活動に携わり、毎週行っている会社説明会では一次面接官の視点から「採用したくなる思考」を盛り込み、参加者の面接通過率向上に貢献しています。

以前は1年かけて達成していた採用充足率を、わずか半年で達成できるように改善。こうした経験から得た、現場で使える面接対策のノウハウを惜しみなく徹底的にお伝えします。

このブログでは、面接で自分の強みを最大限にアピールし、内定を勝ち取るための具体的な方法を、わかりやすく解説していきます。

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