就職や転職の面接では、多くの人が「礼儀正しくしよう」「きちんと答えよう」と意識しています。もちろんそれは大切ですが、実際に面接官をしていると「マナーが多少ぎこちなくてもいい。でもこの態度だけは嫌だな」と思う瞬間がはっきりあります。
つまり、候補者本人は気づかないけれど、面接官の心にマイナス印象を強く残す“やってはいけない態度”があるのです。今回は、面接官の本音から、特に嫌われやすい態度とその改善ポイントを紹介します。
面接官が嫌う典型的な態度
1. 上から目線の発言
面接の場は「お互いを知る場」とは言え、応募者があたかも企業を査定しているかのような話し方をすると、一気に印象が悪くなります。
たとえば、
- 「御社を利用して自分のスキルを磨きたい」
- 「ここで経験を積んでから、さらに上の企業に行きたい」
本人としては成長意欲を示しているつもりでも、受け取る側には「企業を踏み台にしている」「協働する意識がない」と映ります。
改善のポイント
「自分の成長」と「企業への貢献」をセットで語ること。
例:
「御社の新規事業に携わることで、自分の分析力を活かしながら貢献したい。その経験を通じてさらにスキルを高めたい」
2. やる気がなさそうな態度
声が小さい、目を合わせない、返答が「はい」「いいえ」だけ。こうした態度は、言葉以上に「熱意のなさ」として伝わります。
面接官は「入社しても同じように受け身で、指示待ちになるのでは?」と不安を覚えるのです。
改善のポイント
- 大きな声を出す必要はありませんが、はっきり聞こえる声で。
- 相手の目を見るのが難しければ、ネクタイの結び目や眉間あたりを見て話すだけで十分。
- 返答は短く終わらせず、一言理由を添える習慣をつける。
3. テンプレ回答ばかり
「御社の安定性に惹かれました」
「幅広い業務に挑戦できる環境に魅力を感じました」
一見きちんとしているようですが、どの企業でも通用する言葉は面接官の心にまったく響きません。
面接官は数十人、数百人と同じような言葉を聞いてきています。テンプレ回答は一瞬で見抜かれ、「準備不足」「本気度が低い」と判断されます。
改善のポイント
- 自分の経験や価値観とつなげて語る。
- 「なぜその会社でなければならないのか」を説明する。
例:
「学生時代に地域のイベントをアプリでサポートした経験があり、テクノロジーで人をつなげる力を実感しました。御社の○○事業に関わることで、その思いをより大きな形で実現したいと考えています」
4. 責任転嫁・他人のせいにする
「前のアルバイト先は上司が悪くて…」
「学校のサポートが不十分で…」
面接で過去の失敗や退職理由を聞かれたとき、こうした“他責”の回答が出ると、一気に信頼を失います。職場でのトラブルも他人のせいにするのでは?と心配になるからです。
改善のポイント
- 事実を述べつつ、自分がそこから何を学んだかにフォーカスする。
例:
「前職では上司と考え方が合わずに苦労しましたが、その中で『自分の意見を分かりやすく伝える力』の大切さを実感しました。今後はそこを伸ばしていきたいです」
5. 質問をしない/逆質問が浅い
面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれて「特にありません」と答える人。これは熱意ゼロと受け止められます。
また、
- 「残業はありますか?」
- 「ボーナスはどのくらいですか?」
といった、ネットで調べれば分かることや待遇だけの質問もマイナスです。
改善のポイント
- 「その会社だからこそ聞きたいこと」を用意しておく。
- 仕事内容やキャリアパスに関する質問は好印象。
例:
「入社後3年目くらいで任されることの多いプロジェクトについて、具体的にお聞きしたいです」
面接官の本音トーク
ここまで紹介した“嫌われる態度”は、裏を返せば「誠実さ」「熱意」「具体性」があれば問題になりません。
面接官はロボットではなく人間です。
- 言葉に詰まっても、一生懸命さが伝わればプラス評価。
- 逆に、態度がぞんざいだったり誠意を感じなかったりすると、一気に「不採用」に傾く。
そして、最終的な合否は面接官同士の合議で決まります。その場でも「スキルは悪くないけど、態度がちょっと…」という意見は強い影響を与えます。
まとめ
面接で見られているのは、知識やスキルだけではありません。むしろ「一緒に働けるかどうか」という人柄や態度の部分が大きな比重を占めます。
- 上から目線
- やる気がなさそう
- テンプレ回答
- 責任転嫁
- 質問をしない
これらはすべて、スキルより先にマイナス評価を決定づける要因です。
大切なのは、相手への敬意を持ちつつ、自分の言葉で語ること。多少の緊張や言い間違いは問題ではありません。誠実さと前向きさを伝えることこそ、面接突破への一番の近道です。