
IT業界を志望する就活生の多くが、最初に選択肢として考えるのがSES企業です。
未経験からエンジニアを目指す場合、SES企業は入り口になりやすく、多くの企業が新卒採用を行っています。
しかし、実際に面接をしていると、志望理由が弱い学生は少なくありません。
よくあるのが
「社会に貢献したい」
「IT業界に興味がある」
「エンジニアとして成長したい」
といった志望理由です。
これらは間違いではありませんが、SES企業に特化した理由にはなっていません。
IT企業にはSESのほかにもSIerや自社開発企業などさまざまな形態があります。そのため面接官は「なぜSESなのか」という点を重視して見ています。
この記事では、IT企業の採用面接を行ってきた立場から、SES企業の志望理由の考え方や評価されるポイント、そして具体的な例文まで詳しく解説します。これからIT業界を志望する人は、志望理由を考える際の参考にしてみてください。
SESとはどんな働き方なのか
志望理由を考える前に、まずSESという働き方を理解しておくことが重要です。SESとは、システムエンジニアリングサービスの略で、エンジニアが顧客企業のプロジェクトに参加し、技術支援を行う働き方です。
エンジニアは自社に所属しながら、顧客企業のプロジェクトに参画します。プロジェクトの内容はさまざまで、システム開発、運用保守、インフラ構築など幅広い分野があります。
この働き方の特徴は、複数の企業やプロジェクトを経験できることです。エンジニアとしてのキャリアの中で、さまざまな環境や技術に触れる機会があります。
一方で、プロジェクトによって仕事内容や働く環境が変わる可能性があるため、柔軟に対応できる姿勢も求められます。
そのためSES企業の面接では、技術力だけでなく
「環境の変化に対応できるか」
「新しいことを学ぶ姿勢があるか」
といった点が重視されます。
SES志望理由で面接官が見ているポイント
SES企業の面接で、志望理由を通して面接官が見ているポイントは主に三つあります。
一つ目は、IT業界への興味や関心です。未経験採用の場合、最初から高い技術力を求められることは多くありません。その代わり、ITという分野に対して興味を持ち、学び続ける意欲があるかが重要になります。
二つ目は、SESという働き方への理解です。SESはプロジェクト単位で仕事をすることが多く、環境が変わる可能性があります。そのため、その働き方を理解したうえで志望しているかどうかが見られます。
三つ目は、長く働くイメージがあるかどうかです。企業は採用した人材に長く活躍してほしいと考えています。志望理由の中に、自分の成長イメージや将来像が含まれていると、面接官にとって安心感につながります。
よくあるNGな志望理由
面接をしていると、就活生からよく聞く志望理由があります。
例えば、「IT業界は将来性があると思ったから」「手に職をつけたいから」「エンジニアとして成長したいから」といったものです。これらは決して間違った考え方ではありません。しかし、この内容だけでは志望理由としては弱い印象になります。
なぜなら、これらはSES企業である必要がないからです。SIerや自社開発企業でも同じ志望理由が通用してしまいます。
そのため、志望理由では「IT業界に興味を持った理由」に加えて、「なぜSESという働き方に魅力を感じたのか」を説明することが重要です。
志望理由を作る基本構成
志望理由を考えるときは、次の三つの流れで整理すると分かりやすくなります。
まず一つ目は、IT業界に興味を持ったきっかけです。授業やアルバイト、日常生活の中でITに触れた経験など、自分の体験をもとに説明すると説得力が生まれます。
その原体験と現在の自分を結び付け、「こういうことができたら便利な世の中になりそう」「今の自分にできることは?」というように、関連性を持たせます。
二つ目は、SESという働き方に魅力を感じた理由です。複数のプロジェクトを経験できる点や、さまざまな企業のシステムに関われる点など、SESならではの特徴に触れると良いでしょう。
自分の成長を強く押し出すことはおすすめしません。会社は、どれだけ事業に貢献できるかで採用を決めます。そのため、「自身の市場価値を上げたい」がメインにくると、良い気はしないです。
三つ目は、その会社を志望した理由です。研修制度や企業の方針、事業内容などを調べ、自分が共感したポイントを伝えます。
研修制度があるので育成してもらえる、という書き方よりは、「研修もあるが自己研鑽を惜しまず、会社に貢献できる人材になりたい」という旨が、印象が良いです。
この三つの流れで話すことで、志望理由の構成が自然になります。
志望理由の例文(未経験)
以下は、未経験からSES企業を志望する場合の例文です。
「私がIT業界を志望した理由は、IT技術が社会のさまざまな場面で活用されていることに魅力を感じたためです。大学では文系の学部に所属していましたが、アルバイト先で業務管理システムが導入されたことをきっかけに、ITによって仕事の進め方が大きく変わることを実感しました。
その経験から、IT技術を通じて社会を支える仕事に興味を持つようになりました。
その中でSESという働き方を知り、さまざまな企業のプロジェクトに関わることで幅広い経験を積める点に魅力を感じました。異なる環境で経験を積むことで、自分の視野や技術を広げながら成長できると考えています。
御社は未経験からエンジニアを育成する研修制度が充実しており、基礎から学べる環境が整っている点に魅力を感じました。まずは研修やプロジェクトを通して経験を積み、将来的にはチームの中で信頼されるエンジニアとして貢献できるよう成長していきたいと考えています。」
SES志望理由のテンプレート
志望理由を考えるのが難しい場合は、次の流れを参考にすると整理しやすくなります。
まずIT業界に興味を持ったきっかけを書きます。次にSESという働き方に魅力を感じた理由を説明します。そして最後に、その企業を志望した理由を述べます。
この順番で構成すると、志望理由の流れが自然になります。
例えば、次のような形です。
「私は〇〇の経験をきっかけにIT業界に興味を持ちました。IT技術によって社会や仕事の仕組みが変わることに魅力を感じ、エンジニアとして関わりたいと考えるようになりました。
その中でSESという働き方を知り、さまざまな企業のプロジェクトに関わることで幅広い経験を積める点に魅力を感じました。多くの現場で経験を重ねることで、自分の視野を広げながら成長できると考えています。
御社は〇〇という点に特徴があり、エンジニアの成長を大切にしている企業だと感じました。私も御社の環境の中で経験を積みながら、エンジニアとして成長していきたいと考えています。」
面接で深掘りされる質問
志望理由を話したあと、面接ではさらに質問されることがあります。
よく聞かれるのが「なぜSESを選んだのですか」という質問です。この質問では、SESという働き方を理解しているかが見られています。
また、「将来どのようなエンジニアになりたいですか」という質問もよくあります。ここでは具体的な職種を答える必要はありませんが、成長イメージを伝えることが大切です。
IT業界でやりたいこともほぼ必須でしょう。社会貢献などと大それた内容ではなく、もっと身近なものに置き換えたエピソードの方が面接官も腹落ちしやすいです。
私の場合は、なぜIT業界でなければならないのか?その理由を聞きます。それは、一定数IT業界でなくても良い理由を答える人がいるからです。仕組みで世の中を良くしたいのは、どの業界でも言えるのではないでしょうか?
さらに「なぜ当社を志望したのですか」という質問もほぼ必ず聞かれます。企業の特徴や研修制度などを調べておくと、答えやすくなります。
志望理由を作るときのコツ
志望理由を作るときに意識したいポイントがあります。
まず大切なのは、自分の経験と結びつけることです。授業、アルバイト、趣味など、ITに興味を持ったきっかけを具体的にすると説得力が高まります。
もう一つは、SESの特徴を理解することです。SESはさまざまなプロジェクトに関わることができる働き方です。そのため「多くの経験を積みたい」「環境の変化を通して成長したい」といった考え方と相性が良いと言えます。
自分の価値観とSESの特徴を結びつけて考えることで、より説得力のある志望理由になります。
まとめ
SES企業の志望理由では、単に「IT業界に興味がある」と伝えるだけでは十分ではありません。重要なのは、SESという働き方を理解したうえで志望していることを伝えることです。
IT業界に興味を持ったきっかけ、SESの魅力、そして企業を志望した理由を整理することで、説得力のある志望理由を作ることができます。
面接では完璧な回答よりも、自分の経験や考えをもとにした自然な志望理由が評価されることも多いです。この記事を参考に、自分なりの志望理由を整理してみてください。



